文化人になりたい

その日に見た創作物について、感想を述べる。それだけの場所。

この世界の片隅に 感想

今日はamazonプライムで「この世界の片隅に」をレンタルして見ていました。

https://www.amazon.co.jp/この世界の片隅に-のん/dp/B06ZZB35B2/ref=sr_1_1?s=instant-video&ie=UTF8&qid=1518018470&sr=1-1&keywords=この世界の片隅に

結論から言えば、評判に違わず素晴らしい作品でした。

 

 

通常、「戦争もの」というと戦争の悲惨さを強調していく作品が多いでしょう。

しかし、この作品では、原作マンガからそうですが、極限まで当時の人達のリアリティを描こうと注力しています。

それは「異変に気づかぬまま壊れていく日常」です。

 

現代に生きる我々の感覚では、戦争は究極の非日常です。

なので、「平凡を突然奪われる」という光景をつい想像してしまいがちです。

しかし、当時の人々にとって、戦争とは日常を少しずつ侵食していくものであり、徐々に価値観が狂っていくものなのだということを、この作品はことさらに強調します。

 

主人公のすずは戦時下に呉市の農家に嫁いだ主婦です。

彼女たちの世界では、食料は配給であることは当たり前で、身近に軍人がたくさんいます。

そんな当たり前の日常をほのぼのとしたタッチで淡々と描いていきます。

それは、あくまで彼らにとって何でもない普通の日々なのです。

 

しかし、歯車は徐々に狂っていきます。

気がつけば空襲警報は日常となり、義姉の家は疎開という名目でなくなってしまいます。

空襲の際に祖父が倒れて肝を冷やしましたが、ただの寝不足でした。

それでも、そこにあるのは彼らにとって変わらない日常のままであり、違和感となることはありません。

すずたちは、変わることなく元気な日々を過ごしていきます。

 

そのゆがみが突然に目の前に現れるのが、不発弾の事故です。

突然の姪の死と、片腕の消失。

すずにとって当たり前の日常は突然、死と戦争の狂気の前に晒されることとなります。

事故の様子を絵画に例えてどうにか客観視しようとする様子や、右腕を失ったすずの空虚な回想は、歯車が狂っていたことに気付かないでいたすずの衝撃を実によく表現しています。

 

家に焼夷弾の一部が落ちた時のすずが印象的です。

腕を失った事故は、あくまで義父の見舞い帰りであり、自らの日常とはいえないところでの事故でした。

しかし、家の中に火が広がったことは、遂に戦争というえげつない暴力が自分の生活圏内に入り込んできたということをすずに実感させます。

そのことをようやく実感したすずの悲痛な叫びがとても印象的です。

 

8月6日。広島に原爆が投下された時のすずは、最早、ぽけっとした平凡な主婦ではありません。

自分の身の回りのものが救われることを祈る、弱き市民でした。

怪我をしているにも関わらず、必死に広島へゆこうとする姿が痛々しくも心に刺さってきます。

 

そして、何よりの肝は玉音放送を聞いた時の反応でしょう。

「こんな簡単に終わるのなら、今までの犠牲は何だったんだ」「全員最後の一人まで戦い抜く覚悟と言ってきたのに、なんでその誓いをあっさり放り出すんだ」

国家という虚像に振り回され、為す術もなく多くのものを失った人たちの悲痛な叫びだと思いました。

それにしても、すず役ののんさんはとてもいい仕事をされていますね。監督が彼女以外ありえないと太鼓判を押しているのも納得の演技です。

 

 

 

私は当時の人間ではないので、戦争がどういうものなのか、特に自分の住む街が戦場となり焼かれるということがどういうものなのか、想像でしか語れません。

しかし、「この世界の片隅に」は日常に徐々に蝕む火薬の香りと、一気に恐怖の実感として伴っていくさまが巧みに描かれており、それが恐ろしいものであるという想像を十分に掻き立ててくれました。

当時の人々の豊かでたくましい生き様とともに、この作品が長く語り継がれるといいなと思っています。

HUGっと!プリキュア第1話 未来をテーマにした夢あふれる子供アニメ

お久しぶりです。

プライベートがゴタゴタしていました。

 

今日は昨日放映されたHUGっと!プリキュアです。

由緒正しき女児アニメシリーズ、その開幕はいつ見てもワクワクするものです。

 

脚本はプリティーリズムシリーズや12歳でおなじみの坪田文さん。

演劇方面でも活躍されていた方なので、テーマを明朗に歌い上げる芝居がかった作劇が特徴のお方です。

また、子供向けとはいいつつもいろいろな面で「ガチ」なのも特徴ですね(笑)

 

今回はとにかく展開が早い。次々のキャラクターたちが出会って戦いに加わっていく感じが心地よいです。

次週にはもう2人目も登場する模様。あまりプリキュアは追っていなかったのでわからないのですが、これって普通のペースなのかしら・・・?

少なくとも3人までは顔出ししているようなので、当分は3人をメインにやっていくのでしょう。

 

今作のテーマは「未来」です。

なりたい職業が次々と浮かび上がっていくオープニングはとても華やかで見ていて楽しいですね。

エンディングでもあこがれの職業を次々に連呼していくなど、「夢に溢れた未来」を全面的に肯定していく内容になっています。

他にも、主人公たちの返信するパワーがアスパワーであったり、とにかく全てが「明日」や「未来」というワードを彷彿とさせます。

 

そんな中、プリキュアのモチーフはダンス。

主人公のはなは元気なチアリーダーです。

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キュアエールという名前からもわかるように、彼女のコンセプトは「応援」です。

「皆の未来を応援するチアリーダー」というと、同じく坪田脚本の生み出したプリティーリズム・ディアマイフューチャーの主人公、上葉みあを彷彿とさせます。

というか、元気が取り柄で猪突猛進なところとか、未来の自分を頑なに信じているところとか、色んな所がみあそっくりです。

 

他のメンバーはキュアアンジュ、キュアエトワール共にバレリーナやオペラ歌手をモチーフにしているように見えます。

その意味で、チアリーダーという現代的なモチーフのキュアエールとは明確に方向性が異なるわけですが(そもそもアンジュ・エトワールはフランス語ですし)このあたりのコンセプトの違いが今後の展開に利いてくるのか、気になるところです。

 

一方で、敵の方は思いっきり「社畜」がモチーフですね。

恐らくは、かつては夢を抱いたものの夢破れただ毎日を過ごす会社員の姿を、子供のアンチテーゼとして配置しているのでしょう。

彼らにどのような解釈・救いを与えるのか。

特に彼らのような立場の人間は親御さんにも多いはずですので、一概に悪と断じることはできません。

このような存在を敢えて正面から描くことで、夢の持つ負の側面も描き出すでしょうし、物語にも深みが生まれます。

そのテーマを通じて大人たちにもどのようなメッセージを送るのか、これからが楽しみです。

「未来」をテーマにした傑作、プリティーリズム・ディアマイフューチャーとどのような差別化をしていくのかにも注目したいです。

(ところで上司の声が三木眞一郎さんなのがまたプリティーリズムを想起させます笑)

 

 

 

 

 

 

 

新幹線変形ロボシンカリオン 第4話 E6こまちがかっこよすぎる

土日ちょっとバタバタしていてブログどころじゃなかった……

毎日更新してる人たちってすごいんだなあ。

 

さて、今日はシンカリオンamazon primeで視聴しました。

いいですね、シンカリオン

男児向けホビーアニメとしてあるべき要素が全部詰まっています。

 

今回はもうひとりの仲間であるアキタの正式加入会です。

子供向けアニメは1話に1つテーマとメッセージがはいっているのが理想形だと思っていますが、シンカリオンはそこを外しません。

しかも、一つのテーマだけじゃなく細かいテーマもちょこちょこ差し込んでいるのが本当にすごい。

脚本家の方々の並々ならぬ情熱を感じます。

 

今回の最大のテーマは勿論「夢」です。

しかし、田舎と都会の違いを強調し、田舎から東京へ向かう=夢をかなえるための象徴として新幹線が登場しています。

これは新幹線オタクのハヤトではありえない視点ですね。

こういったように、テーマである新幹線を多様な側面から描いていることも、シンカリオンのよいところです。

新幹線を通じて色んな地方の子どもたちを結んでいるっていう設定も面白いなあ。

 

ハヤトにとって新幹線の運転手になることは夢です。

しかし、ハヤトはまだ小学生。新幹線オタクにはなっているものの、運転手になるための何かをしているというわけではありません。

ハヤトはそんな自分に疑いを持たなかったのですが、そこに現れたのが今進行形で夢をかなえるために努力しているアキタでした。

アキタを見て、ハヤトは「自分の夢なんてまだまだなんだ」ということを再確認します。

成長の早い主人公は見ていて気持ちいいです。

 

そして、今自分ができること、今の自分が努力していることの意味を考え始めるのです。

「なんでシンカリオンに乗っているんだろう」と。

はじめは「大好きな新幹線の操縦ができるから」という単純な動機でしたが、夢に頑張るハヤトを見て「こういう人たちを守っているんだ」という自覚が芽生えます。

そして、それがハヤトの夢となるのです。

この時点でのハヤトは適合者でありながらも、パイロットになることを拒否した一般人。

その守る対象である人たちのリアルな声を聞いたことによって、ハヤトの中で夢が形をなしたのです。

 

一方で、その夢を聞いたアキタの心も動かされます。

ビームライフルの大会では惜しくも結果を残せなかったアキタ。

自分は特別ではないという現実を突きつけられますが、だからこそ、「自分のような普通の人」を応援しよう、守ろう、というハヤトの決意が響いたのではないでしょうか。

このあたりのお互いを刺激しあう関係性は本当に素晴らしいです。

 

さて、そんなこんなで敵が登場しわかりやすくピンチになるハヤト。

新戦士加入回の鉄板ですね。

このあたりの展開は相当にベタですが、ハヤトの体温の低下などピンチが段階的に描かれていったのでテンションを維持できていました。熱かったです。

 

そして、E6こまちが登場。

いつみても新戦士のバンクはワクワクします。

 

E6こまちはアキタの性能に合わせてガンナータイプ。

それゆえにギミックが豊富で少年心をくすぐられます。

目の上の飾りだと思っていたものがスコープだったり、銃を方にセットしてキャノンにしたり、メカとしてのギミックが満載です。

スナイパータイプのロボというと、マジェスティックプリンスのイエローを思い出しますが、それとは違ってガンガン動きながら戦う機動性の高いガンナーですね。

E5といい、シンカリオンはアクションが激しくてかっこいい。

そして、敵の弱点をスコープで見抜いてからのフィニッシュ。決めポーズまでかっこいい。

というか、サーチと狙撃と必殺まで全部一人でやってしまって「あいつ一人でいいんじゃないかな」状態です。しかも全ての技・モーションがかっこいい。

(一方の主人公は自動改札固め・・・)

 

そういうわけで、加入した2人目の仲間。

次回は3人めが登場するようで楽しみです。

(OPを見る限りメインは3人のようですが、2クール以降追加戦士が現れていく可能性もあるかな……)

リディー&スールのアトリエ 〜不思議な絵の錬金術師〜 その他システム編

前回、リディー&スールの調合についての感想を述べました。

今回は調合以外のシステムについてです。

多分、次シナリオの感想を書いておしまいかな……。

 

アトリエシリーズでは時間が流れており、依頼をこなしたりストーリーを進めたり調合をこなしたりしながら日々を過ごしていきます。

第一作であるマリーのアトリエでは、3年間という期間が与えられてその間に十分立派なものを調合するというのが目標でした。

その後、各作品ごとにさまざまに目標を変えつつ、時に大目標と小目標を上手く混ぜながら進化させてきました。

私がプレイしたものだと、ロロナのアトリエというものがありますが、こちらはおよそ3ヶ月毎に小課題があったりして中だるみさせない作りになっていましたね。

 

そんな中で大きく方針を転換したのが黄昏シリーズの第3作、シャリーのアトリエです。

シャリーのアトリエでも同様に日付の概念はあるものの、期日の概念がありません。

つまり、いつまでに何を作らなければならないという時間制限がなくなったのです。

期日が来てゲームが否応なしに終わってしまうということはなくなったものの、一方で調合にかかる日にちというのがほぼ死にパラメーターになってしまったり、戦略性の部分では大きく変化することとなりました。

 

黄昏シリーズに続く不思議シリーズもこの傾向を踏襲しています。

期日がなくなったということは、いくら失敗しても時間を損することがないということで、強いアイテムを色々試行錯誤できます。

その結果、裏ボスの強さは歴代シリーズとは比べ物にならないほどになり、「強いアイテムを作って敵を倒す」という部分については大幅強化されたといってよいでしょう。

実際、ソフィー以降クリア後のボスたちの強さはかなりのものですし、フィリス、リディー&スール共に登場する女神「パルミラ」の戦闘力はなかなかに頭おかしいです。

また、アップデートによってボスのレベルの上限を上げたり、ボスを追加したり、戦闘を楽しむという面をより強固にしていこうという姿勢が感じられます。

強敵のためにアイテムを試行錯誤しながら作っていく過程は、考慮すべきことが多いパズル調合とも相性がいいです。

 

リディー&スールの通常プレイは、オーソドックスなアトリエと類似しています。

前作であるフィリスのアトリエは疑似オープンワールドでのアトリエというかなり挑戦的なことをやっているのですが、今作ではソフィーと同様のオーソドックスなスタイルに戻り、一つの街を拠点としてそこで行われる日常をテーマにゆるゆると話が展開していきます。

キャラクターとの交流を楽しむという面では、こちらの方が相性がいいですね。

みんな同じところに住んでいるので自然と交流も生まれますし、過去のキャラクターが集まる不思議シリーズ3作目の今作としてはふさわしいのかもしれません。

とはいえフィリスのように調合で世界を広げていく感覚は大変素晴らしかったので、あちらの方向でもいずれまた作って欲しいものです。

 

UIは非常に良くなっていました。

ファストトラベルもわかりやすいし、イベントのある場所には!が表示されます。

キャラもイベントも多いので、変にマラソンしなくていいのはとても便利。

 

さて、本作のメインの流れですが、「アトリエランクを上げて国一番のアトリエになる」のが本作の目標です。

アトリエランクを上げるには試験を受けなければなりません。

アトリエとしてはしばしば見られる、ところどころに小課題を挟んでモチベーションを上げていくタイプのアトリエです。

 

課題だけ定期的に出てきて〜という形になっていないのが良い工夫だと思いました。

小課題というのは忘れたころにやってくるので人によっては「面倒くさいおつかい」と感じてしまいますが、今回は試験をうけるために「評判」を上げるということが目標になります。

評判とは、「このアイテムを調合してみよう!」「この魔物を倒してみよう!」などの小クエストが詰まった「野望ノート」の項目をクリアしていくことで上げていきます。

この野望ノートがよくできていて、その時のプレイヤーのレベルに合わせて適切に課題が設計されています。本当に一瞬で終わるような簡単なものから、結構がんばらないといけない調合まで、たくさんあります。

そして、その全てをこなさなくとも、一定数こなせば試験は受けられるようになるので、野望ノートを参考に好き勝手調合していれば自然と達成されるので、あまり窮屈でもありません。

しばしばアトリエシリーズは「自由度が高くて何をすればわからない」という声も聞きますが、縛りをきつくしない範囲で丁寧な誘導をつける、絶妙なシステムだと思いました。

 

今作のレシピは、従来の本で覚えるというものに加えて、ソフィーのアトリエから始まった「レシピ発想」というものによって得ることができます。

レシピ発想は、材料収集や調合など、特定の条件をみたすことに依ってレシピを手に入れることができます。

このレシピ発想というのが楽しく、プレイヤーは「欲しいアイテムを作るため」ではなく「レシピノートを埋めるため」に調合を繰り返していくことになります。

ソフィーの頃は不可思議なレシピ発想の順番もいくつかありましたが、リディー&スールは非常に洗練されており、レシピ発想のために調合の基本を覚えつつ、必要なアイテムや材料を揃えていけるようになっています。

 

リディー&スールのアトリエは不思議シリーズの最終作という位置づけでもありますが、システムの面で見ると不思議シリーズの集大成とも言える出来で、かつとても初心者にも親切な誘導がなされている作品だと思いました。

過去作のキャラクターが登場してガンガン絡んでいくというとっつきにくさを除けば、今回のアトリエは一番アトリエ入門として親切なゲームで、是非おすすめです。

りゅうおうのおしごと!第3話 萌えと燃えと執念と

プリティーシリーズの後継プロジェクト「プリチャン」が発表されましたね。

いつか終わりを迎え新展開を迎えるのも子供向けコンテンツの宿命。

スタッフも大幅に変わるようですが、今は期待して待ちたいと思います。

 

さて、「りゅうおうのおしごと」第3話。

こちらもすごくよかったですね。

 

この手の業界ものは「いかにその人たちの情熱を描き出すか」に集約されると思っています。

その業界に人生を捧げ命を燃やす人々の想いをどうやって描き出すか。

それがその業界への最大のリスペクトであり、創作物にする理由でもあります。

逆にそれが薄いと「茶化している」「単なる萌えアニメ」という評価になってしまいます。

でも、りゅうおうのおしごとはそれを非常に高いレベルで実現していますね。

 

八一の元へ残るには研修会試験3試合、全てに「勝利」することを条件として告げられたあい。

あいの実力は極めて高いため、同期の研修会の子では相手になりません。

2枚落ちで久留野七段との対局に移ります。

 

ここの久留野七段がとてもいい。

はじめは悠々と、若き棋士を指導するかのように将棋を指していたのですが、あいの想像以上の実力、そして勝ちへのこだわりを見せつけられて空気が一変します。

登場したのは七つ道具の一つ、空気清浄機。

(私は知らなかったのですが、実在の棋士で空気清浄機を持ち込まれて対局される方がいて、そのパロディのようです笑)

自分にとって最強のコンディションを整え、子供相手に本気で勝ちを取りに行きます。

汗を垂らしながら盤面に向かい合う姿が印象的です。

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その様子を見た母親の台詞がこの作品の方向性を象徴しています。

「たかが将棋を指すためにそこまで?」

この作品は棋士という「たかが将棋」のために人生を捧げた人たちの人間ドラマ。

こういった狂気と紙一重の勝利に対する執念が脚本・演出共によく描かれていてこちらものめりこめます。

 

しかし、あくまで彼も後進を指導する立場。

あいに向かって試しとも言える勝負の一手を打ちます。

この手を受ければ、待っているのは激しい勝負。しかし、その綱渡りとも言える戦いの先に彼の勝利はありません。

そしてあいがこの手から引けば、一気に形勢逆転です。

これがどこまで意図されたものなのかはわかりません。

でも、彼の将棋への愛が、あいという若き天才棋士の真価を見極めたいと思ったからこそ、生まれた手なのではないでしょうか。

結果、あいはこの読みに勝ちます。

 

それにしても、あいの異様なまでの集中力もよく描かれていますよね。

盤面を一転に見つめるぶれのない瞳に、一歩間違えれば盤面にめり込むような前傾姿勢。

可愛らしさと狂気をうまーく同居させてるなあと感心します。

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さて、お次はラスボスこと姉弟子・空銀子です。

先程の久留野七段とは異なり、銀子はあいへの嫉妬の感情もあるのでしょう。本当の真剣勝負を仕掛けてきます。

つまり、心理戦込みの情け容赦なしのプロの洗礼です。

銀子は素の実力の高さも含め、定石外しや待ち時間のコントロールなど盤外の戦術をフルに駆使してあいを追い詰めます。

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こわかわいい

 

ここで対局中の銀子の感情が一切描写されないのが印象的です。

銀子は圧倒的な壁としてあいの前に立ちはだかっています。

あいの視点では対局相手である銀子の感情など知る由もありません。

その意味で、ヒールである銀子の感情は視聴者からも読み取れない作りになっています。

だからこそ、対局後に感情を露わにする銀子の様子が際立ちますよね。

「ああ、姉弟子も焦っていたのだ」という安心感を与えます。

その姿を誰にも見せずにトイレに行く姉弟子のキャラが好きです。

 

あいは苦境に立たされながらも、最後の最後で読みのキレを取り戻し銀子に食らいつきます。

涙を浮かべ汗にまみれ、息を乱しながらコマを握るさまはとても小学生とは思えません。(いやらしくない意味で)

そんなあいの執念に八一の心が動かされます。

かつて勝利への執念に惚れこんで八一のもとへ弟子入りしたあいと、そのあいの執念に魅せられる八一。

この互いに刺激し合う師弟関係がとても魅力的です。

 

そうして揺さぶられた八一の将棋への情熱が、戦いに敗れたあいを弟子にするために母親に土下座するシーンは何度見ても美しい。

 

一方の母親もブレません。

日本一の旅館の女将の跡取りをもらう以上、タイトルを取れなかったら人生の責任を取って婿入りの約束まで要求してきます。

こちらはこちらで旅館に人生を捧げた生き物。

こちらにはこちらの執念があるのです。

そういう色々な人の執着を描くこの作品は本当に丁寧だなと思います。

 

そんなこんなで、母親に弟子入りを親公認の仲となった八一とあい。

ここで大きな一区切りを迎えたと思いますが、今後の展開もまた楽しみです。

リディー&スールのアトリエ 〜不思議な絵の錬金術師〜 調合編

昨日は大雪で電車が止まって帰れず記事を書くのを断念しました。無念。

 

今日から心機一転がんばります。

 

今日はようやくクリアしたゲーム、「リディー&スールのアトリエ〜不思議な絵の錬金術師〜」です。

www.gamecity.ne.jp

ゲームの感想は初めてなので、どう書こうかちょっと迷ってます。

一度の記事で全部書くのは分量が頭おかしいことになるので、部分部分でまとめていく形になるのかなあ。

一般的な感想ブログのように少しずつ進んだとこまで書くのもいいんですけどね。

とりあえずは部門ごとに思った限りのことを書いていきます。

 

アトリエシリーズは20年の歴史を持つガストより制作されているRPGです。

「世界を救うのはもう飽きた」というキャッチフレーズと共に、壮大な物語ではないある町の風景を描いた「マリーのアトリエ」が第一作。

そこから錬金術と調合をテーマに(時に世界を救うやつもありつつ)ほぼ毎年一作のペースで新作を出しています。

基本的にアトリエは3作ごとに舞台が変わります。そしてその3作の中では舞台や登場人物が共有されているため、3作を通じて少しずつ広がっていく人間関係や世界を感じることができます。

 

リディー&スールはそんな「不思議シリーズ」の3作目。

不思議シリーズは3作ともやっているのですが過去作の主人公でもある「ソフィー」「フィリス」たちも登場して集大成と呼ぶにふさわしい賑やかな内容になっています。

 

そんなアトリエシリーズの根本を支えるのが調合。

調合も3作ごとに見直しが行われ、3作の中で少しずつ改良が行われていきます。

 

アトリエの調合は「品質」「特性」「効果」の3要素からなります。

品質は1~999の値でそのアイテムの質の高さを示します。とにかくこれをあげまくって品質999の蒸留水を作るところがやり込みの第一歩だったりします。

特性はアイテムに付随しているスキルのようなものです。調合前の親アイテムから特性を引き継いで欲しいアイテムに望みの特性を引き継がせるという、ドラクエモンスターズでいう特技遺伝のような楽しさがあります。

しかも、その特性は色んなフィールドで採取するアイテムにランダムに付いています。欲しい特性が出るまで採取を繰り返したり、手持ちの材料の特性をなんとか毛色を作って引き継がせたりと頭を巡らせるのが楽しい。

アトリエはこう「ぼくのかんがえたさいきょうのアイテム」を空想して実現する、まさにアトリエのような面白さがある作品です。

 

そして、今回の目玉に関係するのが「効果」です。

例えば爆弾一つとっても、効果の強さによって「物理ダメージ・小」「物理ダメージ・中」「物理ダメージ・大」のように効果の強さが分かれます。

その強さを決定づけるのが不思議シリーズの要、「パズル調合」です。

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この図のようにマス目に色の付いたアイテムを配置していき、それぞれの色でマス目を染めていきます。

染めたマス目の数によって効果が変わります。

 

こう聞くとシンプルに聞こえますが、これがめちゃくちゃ難しい。

材料として選んだアイテムのマスの形がどうにもフィットせず材料を変えて試行錯誤したり、そうすると今度は特性が……と考慮する要素がとにかく多いのです。

このパズル調合のシステムは「ソフィー」からずっと続いていますが、骨子こそ変わりませんが細かいとこはかなり色々変わってます。

(例えば、マス目を自由に回転できるかできないかとか)

(ソフィーで不評だったと思われる時間制限付きの最強鍋などは次回以降撤廃されています)

 

「フィリス」からは触媒の概念が追加されました。

これはそもそもの盤の形や、ボーナスマスの数を触媒用のアイテムによって決められるシステムです。

この触媒というのが曲者で、優れたボーナスを持つ触媒はそれ自身が貴重な調合アイテムだったりします。

「理想の材料」と「それを活かすための触媒」という組み合わせによってパズル調合はさらに複雑化し頭を悩ませるものとなりました。

「リディー&スール」では色だけではなく星という属性が効果に付与されており、星ごとにボーナスをかけられる触媒の重要性が一層上がりました。

 

そして「リディー&スール」で追加されたのは活性剤です。

これは特定のマス目の色を塗り替えたり、オセロの要領で一括で染色したりすることができます。ただし、これを使えるのは一度きり。

これによって「足りない色を活性剤によってブーストをかけることで補う」ということが可能となり、理想的な材料がなくてもテクニック次第でどうにかなる余地が生まれたといえます。

 

こうしてわかるように不思議シリーズの調合はかなり複雑です。

理想の爆弾を作ろうと思ったら一回の調合に30分近くかかることもあります。

 

しかし、この苦労が快感なのがアトリエシリーズのよいところ。

それは「もしかしたら上手くできそう」という期待感が常に感じられる絶妙なゲームバランスです。

欲しいアイテムが到底作れそうに内容に思えても、ちょっと他の材料を調合して回り道したり、触媒や活性剤でブーストかけたりするだけで、どうにかなってしまうのです。

単にシステムを足し算して複雑にすることは誰でもできますが、これらの複雑性がきちんと「できそう感」に貢献する要素であるあたりが素晴らしいです。

「できそうでできない」を試行錯誤するというのは、ある意味ゲームとして最もシンプルな快感です。

従来の材料と特性を集めて試行錯誤する伝統的なアトリエの調合システムに、パズルという題材と組み合わせることで不思議シリーズではその快感を一回一回の調合でも楽しめるように進化させました

そして、不思議シリーズを通じてシステムはどんどん複雑化していきますが、きちんとそれぞれの要素が有機的に絡み合っているために「蛇足」や「冗長」という感覚を与えません。

それぞれの要素を解禁していくタイミングなども見事ですね。

 

「調合するだけで楽しい」というアトリエにとってもっとも重要で難しい要素を、きちんと進化させたリディー&スールのアトリエ。

今回の調合システムはまさに不思議シリーズの集大成と言ってもいい満足度の高いものでした。

 

とりあえず最強の爆弾N/Aを作れたので私は満足です笑

新幹線変形ロボシンカリオン第3話 お母さんの覚悟がかっこいい 

感想を頑張って書こうすると何度も見返すことになるので必然的に時間が遅くなります。

でも、楽しいのでトントン。

 

今日はシンカリオンの第3話です。

いよいよ2人目の戦士の登場です。

それにしても「男鹿アキタ」って、「速杉ハヤト」以上にひっでえネーミングだなあ。

 

前回「大人と子供」という立場の違いを乗り越えて共闘することを誓ったホクトとハヤトの親子。

進化研究所のメンバーたちもハヤトを一人前の仲間として扱っています。

どこぞのエヴァと違い、きちんとハヤトの自主性を尊重していますし、変な隠し事もないのでとてもよい信頼関係です。

何より、最大の変化は「適合値の高い子供を全国から探し出す」と言ってくれたことでしょう。

あくまでハヤトを特例とはせずに、真に子供と対等に日本を守っていくという姿勢が感じられます。

大人がウジウジしないのは見ていて大変気持ちいいですが、ここまで綺麗に話が進んでしまうと、今後話のネタは大丈夫なんだろうか笑

 

 

さて、そうやってハヤトを大人と対等に扱うことを決めた進化研究所と対極の立場を貫くのがお母さんのサクラです。

ホクトは、ハヤトを巻き込んだことをサクラに恐る恐る報告します。そして自身の職業がタダの博物館職員じゃないことも。

それを聞いたサクラは、怒るでも止めるでも肯定をするでもない全く別のものでした。

 

それは、「見ないふりをする」ということ。

子供と夫を全面的に信頼して、何もしない。

一切の詮索もせず、あくまでハヤトを普通の子供と同じように扱うということでした。

 

この決断はシビれますね。

お母さんは、本当は夫と息子のことが心配でたまらなかったでしょう。

本音では全力でバックアップしてあげたいはずです。

それでもお母さんはあくまで「日常」の体現者となって「帰る家」を守ることに徹します。

 

これもある意味ハヤトを一人前として見ているということです。

大人というのはつい過保護になってしまいがちな生き物ですが、それでも子供が成長するためには、子供のプライバシーや意志を尊重するということが必要です。

そのためにあえて知らんぷりを決め込むというのは大変な勇気だと思います。

大変な告白を聞いた後だと言うのにいつもどおり、帰りが遅くなったことを叱るお母さんはシンカリオンの中でも今のところトップクラスにかっこいいシーンです。

(ところで、サクラママ声も低くてかっこいいですよね。中身も男前だし実は元ヤン……?)

 

 

さて、もうひとりの仲間が秋田にいるということを知ったハヤトは一人で秋田へ行くことを決断します。

この二人目の仲間、アキタのことについてもあれこれ語りたいのですが、今のところはちょっと情報が少なめですね。

何しろ彼、まだシンカリオン自体には乗っていません。しかも予告いわく、はじめは搭乗を拒否するようです。

次回、アキタという少年のことについて本格的に彫り込まれていくと思うので、彼についての感想は次回にまわそうと思います。

 

あ、でもアキタがハヤトに助言するシーンはすごくかっこよかったです。

これまでアキタという少年については秋田に住んでいるということと、クールなタイプであるということぐらいしか情報がありませんでした。

そこで「俺の専門はレーザーライフルだ」と最高のタイミングでキャラ設定を明かしてくれます。

ロボットもので狙撃手というポジションは一つの花形。

戦闘の山場でその狙撃手が名乗りを上げるなんて非常に熱い展開です。

敵撃破後のE05のポーズもかっこよかったですし、戦闘シーンも非常に楽しめます。

あとは、コクピットがもう少しメカメカしてたら自分の好みだったんですがね笑

 

この作品は全方面に対して「丁寧に描く」という強い意志を感じます。

少年向けホビーアニメの王道を進んでいくこの作品、次週も楽しみです。