文化人になりたい

その日に見た創作物について、感想を述べる。それだけの場所。

シンカリオン第2話 大人と子供をテーマにした良質なホビアニ

こんばんは、

今日は見逃し配信をTBSオンデマンドで見れたので感想です。

www.tbs.co.jp

 

この手のホビーアニメは変わらない良さがありますね。

世界観の適度なゆるさと展開もまっすぐな暑さ、これほど純粋に「快」を追求してくれるジャンルもなかなかありません。

 

「最も優れた技術は新幹線に集まる。だから鉄道博物館が危機に立ち向かうことになったのさ」

なんてセリフ、真面目に考えたら負けです。

そもそも新幹線が変形してロボットになることの優位性など何も語られていません。

でも、ロマンがあるからよいのです。

 

しかし、ロマンだけではありません。

児童向けアニメは世相に合わせたメッセージ性の強さも魅力です。

(ヒロインがYoutuberなのもその一環ですよね。彼女についてはまた別の機会に。。。)

 

本作のひとつの大きなテーマは間違いなく「親子」でしょう。

主人公の速杉ハヤトは普通の家庭に暮らす鉄道マニアの小学生。

鉄道博物館に務める父親の影響もあってか、鉄道用語をビシバシ使い新幹線に憧れる筋金入りのマニアです。

ですが、肝心の父親は仕事が忙しくてなかなかハヤトにかまってくれません。

ですがハヤトは頭の回る子なので、そんな父親の事情を理解して不満を言うことは殆どありません。

久々に父に遊びに連れて行ってもらっても(といいつつ新幹線に乗るだけですがw)父は急に仕事が入ったと言って予定をキャンセルしてしまいます。

 

古典的な男児向けアニメならば、ここでハヤトは父親に対してキレていたところでしょう。

でも、ハヤトはあくまで「仕方ないよ」と笑顔を絶やしません。

 

今は「大人が子供を守る時代」です。

それは言い換えれば「子供が過剰に大人に遠慮する時代」とも言えます。

そこら中に"大人の事情"があふれかえる昨今。

SNSで情報が入りやすくなったこともあり、大人には自分たちの知らない大変さがある、と子供は勝手に我慢して遠慮してしまうのです。

ハヤトもそんな少年の一人でした。

 

しかし、それで内心の寂しさがごまかせるわけではありません。

このあたりのハヤトの心中は、良質な作画や声優の佐倉さんの演技によって存分に描かれていますね。

 

さて、その後紆余曲折あってシンカリオンに乗ってハヤトは敵を倒します。

ここが第2話の冒頭です。

急遽高い適正値を示してシンカリオンパイロットになったはいいものの、ハヤトの処遇については賛否が別れます。

「是非ともハヤトくんにシンカリオンに乗って戦ってもらいたい」

と推すのは偉い上層部の人達。その一方で、父ホクトは「子供を巻き込むわけにはいかない」と反発します。

父からすれば、子を思う発言だったのでしょう。

しかし、その言葉を聞いてしまったハヤトは再び自分が子供であるということを痛感するのです。

 

その後新学期も始まりハヤトは一旦元の生活に戻ります。

ハヤトはもうシンカリオンに乗るつもりはありません。

あくまで「大人」の領分だとわきまえてしまっているからです。

 

マスコットのシャショットはそれを聞いて動転し、賢明にハヤトを説得します。

しかし、「子供」と「大人」の関係を理解していないシャショットの説得はどこか空回り。

でも、シャショットという「子供」でも「大人」でもない存在はハヤトの助けになりました。

シャショットはシンカリオンを操作するために生まれたロボット。

シンカリオンを動かさない限りは存在する意義がありません。

「私には相棒が必要だ」というシャショットの願いは、ハヤトに別の目的を与えました。

大人の世界に干渉するのではなく、シャショットのために戦うというのは、大人の世界に遠慮してしまうハヤトにとって強い動機となることができました。

そして、父に向かってその思いを伝えます。

 

「前はお父さんのために戦ったけど、今度はシャショットやE5のために」

というハヤトの絞り出すような声を聞いた父ホクトの心境はどのようなものだったのでしょう。

成長した息子を喜ぶ気持ちと、大人たちの世界に引き込んでもいいのかという葛藤が一連のカットからにじみ出ます。

そしてホクトはハヤトをE5に乗せることを決断します。

それは、ハヤトを一人前の大人と同等に扱うことを決めた瞬間でもありました。

「二度目だから勝手はわかっているだろう」「俺たちを信頼しろ」といったセリフからはそういったホクトの決意が伝わってきます。

そして、ハヤトたちは見事的に勝利をおさめるのです。

 

大人と子供の関係は時代とともに変わりゆきます。

今は「大人が子供を守る時代」です。

子供は子供の領分から離れず、管理されることが当たり前です。

そして、単なる年齢というトリガーだけで突然「大人」として扱われます。

それはある意味、都合の良い子供像に子どもたちを押し付けているともいえます。

 

子供は親の仕事について知らなくていい

子供は性について知らなくていい

子供は政治について語らなくいていい

子供は出過ぎた真似をしてはいけない

(Youtuberのアズサちゃんはこのあたりのテーマを担っているのかと個人的に勘ぐってます)

 

それはある意味大人のエゴでしかありません。

でも、そのエゴの押しつけが今の子供達を縛って遠慮させている。

絶対的な力関係がありますからね。

それがこのスタッフの感じている今の日本社会なのでしょう。

 

フタバの台詞を借りたホクトのセリフはこの作品のテーマを感じさせます。

「大人と子供が手を取り合って未来を守る時代になればいい」

シンカリオンはこのテーマの先にどのような理想を描いていくのか、どんなメッセージを私たちに伝えてくれるのか。

楽しみに見守っていきたいと思います。