文化人になりたい

その日に見た創作物について、感想を述べる。それだけの場所。

宇宙よりも遠い場所第3話感想 青春をめぐる美しい物語

書いてる途中で寝落ちする大失態。

それでも私が「今日」という限りは「今日」です。多分。

 

 

今回は「宇宙よりも遠い場所」第3話。

前回登場した結月が加わって、いよいよ話が動き始めます。

こういう全員集合回はそれだけでテンション上がりますね。

 

この物語の核は動機もバラバラな4人が南極を目指すという目的を共有して奔走する青春ドラマです

 

平凡な高校生活から抜け出したい「玉木マリ」

母への想いから一心不乱に南極を目指す「小淵沢報瀬」

「ただの高校生」という身分を避け面白いことを探している「三宅日向」

そして、今回登場する友達という関係に飢えた「白石結月」です。

 

報瀬を除く3人はいずれも「普通の高校生」ということに思うところのある面々です。

そこに猪突猛進に南極を目指す報瀬という存在が起爆剤となり集まった4人。

彼女らが南極という究極の非日常を前に何を思い、何を感じるのか。

これがこの作品の一つの大主題だと思っています。

今回はそんなテーマの一部が垣間見えた回でした。

 

さて、前回の大失敗の反省会をする3人。

リーダーである報瀬が想像以上のポンコツであるということから話は始まります。

彼女は行動力に関しては目を見張る物はあるのですが、まわりが見えなくなってしまうタイプ。

また、口だけは一人前ですがいざ事を前にすると怖じ気づいてしまう側面もあります

物語冒頭の「バイトで100万稼いだのに落とした」というあり得ないエピソードに説得力が増してくる構図が面白いですね。

 

このあたりのわかりやすいキャラ付けとそれに触発された賑やかなコメディシーンは脚本である花田さんの十八番。

キャラの掛け合いのテンポもよく、また細かい動きが非常に多いです。

 

 

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結月の訪問に3人が別々のタイミングで気付くシーンのリズム感が好き

 

結月は子役あがりのタレントです。

彼女が持ってきたのは「女子高生南極へゆく」というテレビの企画。

これに自分の代わりに出てこないかと打診してきます。

女子高生だけで南極へ行くというシナリオの根幹ともいえる難題を解決する方法としてはやや力技のような気もしますが、これが一番現実的な落とし所かもしれません。

 

ぬか喜びしてアレコレしているうちに、結月の母親兼マネージャーがやってきます。

そして、テレビの企画を張るには到底役不足だと告げられます。

しかし、母親は報瀬たちに「結月の南極行きを説得してくれたら、あなたたちの南極行きも"推薦"してあげる」という最後っ屁をかましていきます。

 

またもぬか喜びする報瀬。

しかし、日向が「相手の事情も考えてやれ」と諭します。

報瀬の暴走はここで一旦止まりますが、逆に自己中心的な振る舞いに自己嫌悪。

それを日向が「わがままと意志の強さは紙一重」と言って褒め称えることで報瀬は自身を取り戻すのでした。

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何気ないワンカットですが、これは報瀬と日向が言いたいことを言い合える関係になったことを象徴していますよね。

本人たちは一緒に遊びにいったりカラオケに行ったりすることもなく「親友」と呼べる間柄を築いていたのです。

 

一方でそんな「親友」を欲していたのが白石結月です。

彼女は小さい頃から子役として活動していたために、友達をつくることができませんでした。

たまに近寄ってくる同級生も、有名人という肩書きに群がっているだけ。

言いたいことを言い合って喧嘩もできるような同世代の友人に飢えていました。

 

そんな時に目の前に現れたのが報瀬たち3人。

彼女たちはお互いに文句も言いますし茶化し合う、結月から見れば間違いなく親友でした。

その指摘に3人はきょとん。

彼女たちはあくまで「南極に行く」という目標のために集まった同士であり、出会って間もないどころか一緒に遊びに行ったことすらありません。

そんな関係性は「一緒に遊びに行ったりカラオケに行くことで親友になっていく」と思い込んでいた結月にとっては衝撃だったでしょう。

 

ところで、「一緒に遊びに行ったりカラオケに行く」という行為。

まさにマリと日向が退屈だと感じていた行為にほかなりません。

マリはそれを平凡で非青春的なことだと思い、それを乗り越えるために報瀬と出会いました。

日向は「普通の高校生」という肩書きに違和感を感じ、普通ではない存在であったマリと報瀬の前に名乗りを上げました。

 

彼女たちはいずれも「普通でないこと」を青春だと思っている人たちです。

「まず普通にならなければ青春できない」と思っていた結月とは価値観が180度違います。

 

結月は存在自体が普通ではありません。

なので普通であるためには相当な努力を必要としますし、実際全く上手くいってません。

そんな中、普通じゃない何かを目指して一致団結し、無理せずとも自然と親友と呼べる関係を築き上げたマリたちの存在は大きな救いだったでしょう。

 

 

そして、そんな3人が自分を誘ってくれている。

そんな奇跡に結月は耐えきれず涙を零すのでした。

 

この作品において、人間関係のきっかけは極めて打算的です。

マリは青春の丁度いい題材として報瀬とともに南極へ行くことを見出しました。

日向はせっかくだから面白いことをしてみたいといって二人に合流しました。

二人にとっても高校という枠に縛られずに動ける日向の存在は貴重でした。

そして今、南極へ行く手段を得るために結月を口説き落とそうとしています。

また、結月は3人に引っ張ってもらって親友と呼べる間柄を築きたいと思っています。

 

 

しかし、そんな関係からでも青春は作り上げられる。

この作品からはそんなメッセージを感じます。

成り行きで集まった3人が、特別な衝突もなく自然と親友という間柄を築いていたのが、その一つの表れでしょう。

 

壮大な運命も絆もないこの物語。

どんな終着点を迎えるのか楽しみです。